ルビーの宝石言葉 情熱・自由・率直
鮮やかで多くの女性から愛されるルビー。
その煌めく赤い色は持つ人の心を魅了します。

語源
ルビーの語源はラテン語で赤を意味する「ルベウス」からきています。
最高の色
ルビーで最高の色を例えて「ビジョンブラッド」(鳩の血の色)と言いますが、その色は黒みのない赤で、透明度の高いルビーを指します。
発掘
発掘は15世紀のビルマ(現ミャンマー)で始まり、それ以来周辺の国々でも採れるようになりました。
ミャンマー産のルビー
特にミャンマー産のルビーはビジョンブラッドに近い良質のルビーが採れることで有名です。
ミャンマー産ルビーの特色で、紫外線に対して発光する蛍光性を強く持っています。
濃い目の色には弱く、淡めの色程強く反応します。
希少価値
年々採掘量の少なくなっているルビーはこれからますます希少性があがり、良いものは値上がりが大きくなります。
お気に入りのルビーが見つかったら是非見逃さずに・・・!
◆ 宝石の価値のうつり変わり ◆
喜連川宝石研究所 所長 喜連川純氏著
「白地に赤く、日の丸染めて」は国旗の歌ですが、国旗はその国の象徴ということで、色とデザインにそれぞれ建国の意味づけがあり、その色は当然その国民の大好きな色、つまり国民性を現したものを使っております。
古来、日本人は白を神の色とし、漂白剤のなかった昔の純白はあこがれでもありました。
そして赤は太陽。
いやいやそれだけではありません。
日本人の赤好きはそうとうなもので、万葉集にでてくる色名も、白 二百四例につぐ赤 二百二例と、他のいろかすが一桁か二桁しかないのに比べ、赤は群を抜いて多く使われているのです。
それに加えて、日本には西洋にはない、わびさびの美的理念と文化があります。
桃太郎が、鬼を退治して分捕ってきた宝物は「金銀さんご綾錦(あやにしき)」でしたが、このさんごの価値も、そのころは白さんごがいちばん高く、つぎにわびさびの美しさをもつ上品なピンク色のポケさんご、そして真っ赤な血赤さんごの順でした。
でも、これは着物や黒髪に映えた(はえた)時代のこと。
その後、生活様式が変わるに連れ、価値観もいまではまったく逆転し、血赤、ポケ、白の順になってしまいました。
さんごはかんざしで映えても、指輪ではルビーのような華やかさがでなかったからです。
宝飾品は着ている洋服より美しく目立だなくては意味がありません。
そこで、赤好きの日本人としましては、必然的に、いまのファッション感覚にびったりのルビーに目が向けられてきたというわけです。
もちろん、さんごが現代感覚にマッチしないというわけではありません。
日本人は欧米人と違って、西洋のファッションも、わびさび文化も両方着こなせる、素晴らしいセンスをもっております。
外人さんにわびさびは似合いません。だいいち西洋には派手とか地味とかいう微妙な二ユアンスの表現がなく、すべて「どうこれ、明るいそれとも暗いかしら」でかたづいてしまいます。
日本人が好きな、わびさび文化を彩る(いろどる)さんご、琥珀(こはく)、真珠、めのう、ラピスラズリ(瑠璃・るり)、ひすいなど、半透明不透明の宝飾品は、すべて、大きさでボリューム感をだして着けられると、洋服よりも華やかさがでて、効果的なおしゃれを楽しむことができます
◆ ルビーとは赤いサファイアのこと ◆
数年前、F市で賢い消費者づくりのための「宝石教室」をやっていたときのことです。
今月は七月ということで、ルビーのはなしをしていました。
私の前には、和服姿で毎回いらしている、七十なかばの品のいいおばあさまが、いつものように椅子の上にきちんと正座され、ときどき襟元(えりもと)を手でおさえながら、熱心に聞いていらっしゃいます。
「ルビーはこのペンライトとおなじ材料でできております。
見てください。
この胴のところがアルミニウムで、クリップ(ポケットホルダー)の部分はクロムでメッキされているでしょう。
ルビーはこのアルミニウムと着色物質であるクロムでできているのです。
いま、アルミでできた弁当箱のご飯のうえに梅干しをのせ、ふたをして、そのまま置いていたとしましょう。
すると、梅干しがながく触れているアルミニウムのふたは、酸で腐食して白い粉状になってきます。
これが酸化アルミニウムで、この粉を2050℃以上(2500℃前後)の高温で熔かし(とかし)ますと、まったく無色透明のサファイアになってしまうのです。
この酸化アルミニウムに、「味の素少々」といったぐあいに酸化クロムを入れると、赤くなりルビーに。
クロムのかわりに酸化鉄が入ると青、緑、黄色のサファイアになります。
このようにサファイアは着色物質によって、虹の七色から黒まですべての色があり、その赤いものをルピーといっているわけです。
この純粋の酸化アルミニウムと酸化クロムが地球の内部で神秘的な出会いをし、他の不純な着色物質と混ざることなく、地球自身の高温で熔けてできあがっだものが、いわゆるピジョン・ブラッド(鳩の血)といわれている最高の色のルビーなのです。」
おばあさまは、私のはなしにいちいちうなずきながら聞いていらっしやいます。
そしてはなしの切れ目にポツリとつぶやかれました「ホゥー地球のなかに味の素がねえ-」
。
◆なんの目的で。どこで多く使うのか
ハワイで買ったアロハシャツが日本では似合わなかった。パリで飲んだ日本酒はうまくなかった。
こんな経験をされたことはありませんか。これは、人間は五感だけでなく、その場所の「気」といいますか、森羅万象(しんらばんしよう)をことごとく包み込んで味わい、
そして感じる感性をもっているからにほかなりません。
ルビーは蛍光染料のように、紫外線で強く蛍光を発する宝石です。
原産地や東南アジアの紫外線は強烈で、どんなルビーもみな素晴らしい色に見えてしまいます。
そして日本の紫外線の量はそれほどでもありません。
ということで、お使いになるのがおもに日本なら、そこで美しく見える、つまり日本でお買い求めになることです。
このことは、直接、紫外線に関係がなくても、環境とか感性に影響される、ほかの宝飾品にも当然当てはまります。
そして、財産価値を云々するなら、少なくとも2カラット以上のピジョン・ブラッドのルビー(ただし、あまりビビッドなので、ふだんのおしゃれには不向き)を。
日常おたのしみになるのなら、小さくてビビッドなものか、ご自分の口紅とおなじように、少し黒み、紫み、黄みの入った赤いルビーをお求めになることです。
ダイヤの目も眩む(くらむ)ような赤い閃光(せんこう)。オパールも赤が入っているものほど高品質と、赤は美しさの原点です。
そして、そのものずばりの赤い輝きをもつルビーは、まさに宝石の女王といえましよう。