不思議な力を持つ水晶
喜連川宝石研究所 所長 喜連川純氏著

◆ ほんとうにある水晶パワーの秘密 ◆
ちかごろ、信仰心とはおよそ無縁と思われる若い方たちのあいだで数珠(じゅず)みたいな、
水晶玉の腕輪というかブレスレットがよく手首に着けられているのをよく見かけるように
なりました。
きっと、おしゃれ心だけでなく、水晶玉を身につけ、野球とか駅伝で優勝したスポーツ選手にあやかりたいという気持ちもあってのことだろうと思います。
さて、水晶には、ほんとうに自分の持っている以上の能力や体力をだせるパワーがあるのでしょうか…。
いわしの頭も信心からといいますが、水晶の場合はそんないいかげんなものではなく、きちんとした根拠があるのです。
よく、苦しいときの神だのみとか、ここ一番と思うときに、クリスチャンは十字を切り、多くの日本人は、手を合わせて、神仏のお加護を祈念します。
じつは、「無色の水晶玉」には、イエス・キリストの癒し(いやし)の力と、最高位の仏(ほとけ)である大日如来のパワーが強く込められていて、そのパワーが水晶を持つ方の力を実力以上に発揮させてくれる根源になっているのです。
それでは、実際にその秘められたキリストと大日如来の象徴をご自分の目でたしかめて見ることにしましょう。
それにはペンライトと編光板二枚が必要ですが、それを図のようにして、偏光板の間で玉を回してやると普通の状態では現れなかった、「キリストの十字架」と「大日如来の象徴で
ある日輪」を極彩色で拝むことができます。
とはいってもペンライトはともかく、ご家庭で偏光フィルターはお持ちでないでしょうから、宝飾店またはメガネ(レンズのひずみを検査するのに使います)をあつかっているお店にいかれてご覧になるといいでしょう。
このような事象(じしょう)は、専門的にはブルズ・アイといいますが、このパワーの象徴は
無色の水晶球だけのもので、他の宝石にはけっして現れることはありません。
では、球形以外の無色の水晶にパワーはないのかと思われますが、さにあらず、その水晶を玉に磨けば、やはり、われわれの肉眼でも分かるように、十字架や日輪が出現して頂けるわけですから、パワーが内部に込められていることになんらかわりはないのです。
また、ブレスレットにしろ、ネックレスにしろ、孔をあけても神仏の力は抜けることなく、
なんの影響もありませんから、もしお持ちでしたら、お店に立ち寄られたときにでも、ぜひ一度偏光器でご覧になってみることです。
きっと、そのじっさいに見たおどろきが新たなパワーを上乗せして、自信とファイトを生み出してくれることでしょう。
◆ 仏教と水晶のかかわり合い ◆
仏教のみけんには、たいてい白い玉がはめ込まれておりますね。
そうです。
千昌夫さんのほくろの位置です。
あれは白毫(びゃくごう)といって、仏陀のみけんに右まわりにちぢれた白い毛が生えていて、その毛が光明を放ち、三千世界を照らして衆生(しゅじょう・すべての生物)を救うということに由来し、背後にある光背の方は、仏身からでる後光を表しているのです。
この仏像の白毫には、むかしから仏教でいうところの七宝の一つ、玻璃(はり)つまり水晶が
つかわれておりました、水晶は、古くから仏教と深いかかわりをもっていたとみえ、清少納言(九六五?~一〇二〇)の枕草子にも「あでなもの(優美なもの)」の一つに「水晶の数珠」という言葉があり、この頃すでに、宮廷でも信仰だけでなく、おしゃれとしても水晶が幅をきかせていたようです。
いうならば、いまの若者のおしゃれルーツは平安時代にあったというわけです。
そのほか、水晶には、他の素材でできた数珠よりも、はるかに多くの功徳や幅がもたらされると功徳経にもあり、清少納言も、たんなる宮廷ファッションとしてではなく、この「水晶パワー」を信じていつも持っていたのではないでしょうか。その功徳経には、こういうことも書かれております。
すなわち「仏名を請(しょう)じて、一遍つまぐれば、真珠、さんごの数珠は百倍の福。ムクロジは千倍の福。はすの実は万倍。金剛子は百億倍。水晶(何色でも)は一千億倍の福。そして菩提子はその福無量なりーー」と。
ここでいう、ムクロジ(無患子)とは羽根つきの羽根の玉で、金剛子はインド、マレー地方に
生えるホルトノキ科の金剛樹の種のことです。
菩提子はシューベルトの「菩提樹」とは親類ではありますが、別種の天竺(てんじく)菩提樹の実で、八ミリぐらいの大きさのものです。
日本には、明治の末期になってやっとこの樹が入ってきたぐらいですから、その時代に持つことはできず、よけい日本でも採れていた水晶の方に、熱い視線が向けられたのではないいでしょうか。
このほか、水晶の念珠とか、ブレスレットには、魔除けの力があります。
水晶の数珠は喪服にただ一つ許される色つきの宝石ですから、いろいろな色がある水晶のなかから、ご自分に合った色の数珠をお選びになって、功徳と福をさずかっていただきたいものです。